暴力や恫喝(暴言)といった上司からのパワハラに悩んでいる人に向けて、上司はなんでパワハラをしてくるのか、その対策はどうしたらいいのかを書いていきます。
今はすぐにパワハラが問題化する時代なんで、ハラスメントも巧妙化しています。
だから、暴力をふるったり「殺すぞ」とか「辞めろ」なんていう、わかりやすいパワハラがこのご時世にあるのか? って感じなんですけど、実際には存在しているんですよね。
中小のファミリー企業であったり、体育会系のノリが強い営業会社だったりするところでは、そんなパワハラをしてくる上司がまだ存在しています。
パワハラ上司には関わらないのが得策なんですけど、これがなかなか難しい。職場の上司ですからね。
上司からパワハラを食らっていて、毎日辛い思いをしている人がいるんだったら、元パワハラ被害者である僕の意見が少しでも参考になるんじゃないかと思いました。
この記事の内容です!
こんなパワハラを受けてませんか?
僕が受けたパワハラを書いてみます。
例えばこんなことがありました。
ある日、進めているプロジェクトのミーティングがありました。そこでパワハラ上司が、事前に取り決めておいたのと違うことを言い出したんですね。
わりとクリティカルな内容だったんで、翻意されると当然困るわけです。だから「以前と話が違いますけど、代替案はどうしますか?」とか、「プロジェクトの進捗にこんな影響が出ます」とか、そういう話をしなきゃいけないんですよ。
その上で以前の案に戻すか、やっぱり新しいものを模索するのか決める必要がありますからね。
でもパワハラ上司は僕の「以前と話が違う」という言葉を口答えととったんでしょうね。明らかに機嫌が悪い状態で僕の話に「生返事」が続いたあと、急に立ち上がって叫びながら僕のえり首を締めてきました。
「誰に意見してるんだ!?」などとわめき散らしながら、思い切り振り回され、壁に頭をガンガンぶつけられました。
僕の元上司は暴力・暴言にとどまらず、コミュニティからの断絶や陰口など、何でもござれの超ハラスメント野郎でした。
例を挙げればキリがないんですけど、暴力・暴言に絞ると他にはこんなことが。
- 物を全力投球でぶつけられる
- 普通に顔面を殴られる
- 殺すぞなんていう脅迫は日常茶飯事
- カス、チ◯カス、こじき、うじむしという語彙力の乏しい暴言のオンパレード
今思い返しても恐ろしい限りです。
なぜ上司は暴力的なパワハラをするのか
なんで上司は暴力振るったり、暴言で追い詰めてくるんでしょうね。
個人的には、以下の三つだと思っています。
- ただのガス抜き
- 単に気に喰わない
- 何も考えてない
部下が成果を上げないから・・・自分の言う通りに動かないから・・・部下のミスが多い・・・こんな感じでそれっぽい理由も考えられるんですけど、こんなのパワハラするための口実に過ぎないんです。
だって部下が成果を上げなかったら、上がるように指導するのが上司の仕事です。言う通りに動かないなら、それによるデメリットをしっかり説明すべきです。ミスが多いならフローをしっかり教えないとだめです。
普通のことですよね。
こんなことでいちいちパワハラしてたって余計に部下のパフォーマンスを下げるんで、上司にとってもマイナスでしかないです。
だから、暴力や暴言といったパワハラは只のガス抜きだったり、単に気に喰わなかったり、何も考えてないということになります。
いじめやすい人間が隙を見せたら、興奮して仕方ないんじゃないでしょうか。部下としてはたまったもんじゃないですよホント。
百歩ゆずって「他にやり方を知らない」っていう上司もいるかも知れませんけど、それだと、よくこんな奴を出世させたなって感じで会社がヤバイですね。
パワハラ上司はどんな奴なのか
さて、パワハラ上司はどんな奴なんでしょうか。ある程度共通する項目があります。
- パワハラのターゲットを常に一人、あるいは複数もっている
- 自分が与し易い人間に対してパワハラを行う
- 弱者の気持ちが全くわからない
- 自分に見合わない人間に対する共感力が皆無
- 部下に対するパワハラに罪悪感がない
- 自分が気に食わないと、我を忘れてキレる
- 自分は正しいと信じて疑わない
- 多少の小言を言う程度では気が済まない
- 他人に対する接し方の手段が乏しい
こんな感じですね。どうでしょう、けっこう当てはまると思いませんか?
じゃあ、そんなパワハラ上司に対してどんな対策があるのか?っていうのを、自分の経験を元に書いていきます。
対策1:上司と距離を置く
まず第一に「距離を置く」という対策です。
一番良いのは関わらないことなんですけど、上司だからそれは無理ですよね。っていうことで距離を置きましょう。
上司との距離の取り方
距離を置くには適切なタイミングがあります。
パワハラ上司って言っても24時間365日ずっとキレているわけではなく、波があります。パワハラしてるときの「活動期」と、それ以外の「休眠期」です。
「距離を置く」対策は、この休眠期を狙います。
休眠期のパワハラ上司は単に機嫌が良かったり、以前のパワハラを後悔していたします。数日前まではキレてた上司なのに、わざとらしくフレンドリーに絡んできたり、やたらと気を使ってきたっていう経験ありませんか?
(休眠期は完全にフラットな心理状態っていうのも考えられますが、このタイプの上司だとかなりレアなんじゃないでしょうか)
なので、フレンドリーに話しかけてきたり、パワハラによる関係の修復を狙ってコミュニケーションを図ってきたりするわけです。このタイミングで上司にヨソヨソしく接しましょう。
相手は、せっかく話しかけているのに肩透かしを食らった気分になります。期待した反応が得られないとなれば、段々かまってこなくなります。
普通に考えれば、このタイミングで上司と良い関係を取り戻そうとするかもしれないですけど、それはダメです。部下の方からも歩み寄ってしまうと、この手のパワハラ上司は調子に乗ってしまうんですよね。扱いやすい奴だなと。
そして、またパワハラに遭うというループにハマってしまいます。
だから、このタイミングでよそよそしい態度をスタートさせて距離を置いていきましょう。
無視はしちゃダメ
無視はダメですよ。無視は相手に付け入る隙を与えてしまいます。無視は敵意の表れなので、それを口実にまたパワハラをしかけられます。
あくまでよそよそしく仕事に支障をきたさないよう最低限の受け答えで済ませましょう。そうしてまずは、相手に「嫌われているかも」と思わせるんです。
お互いの心の距離がだんだんと離れていき、向こうも必要以上に関わってこなくなれば成功です。
上司と部下なんだから人間関係の構築は大事なんじゃないの? と思われるかもしれませんが、こんな上司との人間関係なんて捨ててしまいましょう。関係を構築すべき上司は他にもいるはずです。
対策2:上司にその場で反撃する
次の対策は「反撃」です。
上司と戦ってパワハラをやめさせたい! という気概のある人や、どうしても許せない! という処罰感情の強い人は反撃してもいいと思います。
その場で反撃する方法
「辞めろよ!」とか「クズ」、「殺すぞ」といった暴言や恫喝。胸ぐらを掴まれる、そのまま振り回される、殴られるといった暴力が出てきた際に反撃します。
パワハラ上司に対して「自分のミスを叱られるのは仕方がないが、あからさまな暴言や暴力はおかしい。筋違いだ」と詰め寄りましょう。
その場で反撃するときの注意点
- かならず録音している状況にあること
- 明らかな暴言や暴力が出るまで反撃しないこと
- こっちも暴言や暴力で反撃しないこと
これが条件です。
録音してないと証拠が残せませんから、後々どんな不利な状況に追い込まれるかわかりません。自衛のためにもかならず録音している状況で反撃してください。
また、多少キツイ程度の言葉だと反撃の材料としては弱いです。第三者が聞いたときに、指導の範疇にとどまっていると判断されては骨折り損ですよね。あきらかな暴言や暴力が出るまで耐えてください。
そして、相手と同じように暴言や暴力で返してはダメです。相手は相殺を狙ってくるばかりか、最悪の場合こちらが悪いとされかねないです。
上司がその場で謝罪をしてきたら
反撃したあと上司のボルテージが一気に沈静化し、態度を改めて謝罪をしてきたら(たぶんそれはないと思いますけど)、「興奮されているようなので、一度離席させてください」「話はまた後日にしてください」といった感じでそこから離脱してください。
決してその場で許したりしてはいけません。うやむやのまま終わってしまいます。後日、お互いが完全にフラットな心理状態で解決の話し合いをしましょう。その時も必ず録音を残してください。
上司がさらにキレてきたら
たぶんこっちのパターンの方が多いと思います。上司がキレている真っ最中に反撃するわけですから、まさに火に油を注ぐ行為です。
「飼い犬に噛まれるとはこのことだ!」と言わんばかりに、上司の頭は沸騰するでしょうね。反撃に対して逆上した上司から、さらなる暴言や暴力が飛び出したらしめたもの。パワハラの証拠がザクザク集まります。
追加の暴言が飛び出しているあいだ、自分は失言をしないよう、語気を荒げないように気を付けつつ、「その暴言はおかしい」と主張をしながら耐えてください。
暴言の嵐は上司が吐き出し尽くすか、疲れるか、第三者が止めに入るまで続きます。あなたが能動的に止めることはほぼ不可能なんで。
胸ぐらを掴む・殴る・蹴るといった暴力を受けたら、「胸ぐらを掴まないでください」「痛い、殴らないでください、暴力はやめてください」と暴行をやめるように言い、すぐに病院に行ってください。
動かぬ証拠です。
パワハラをやめさせるべく行動に移す
しっかりと録音が残っていたら、パワハラをやめさせるべく行動に移します。
大きい会社であれば人事部に通報する、小さい会社なら上司のさらに上司に相談しましょう。
会社が上司の味方をしそうだったり自分一人で交渉するのが不安なら、労働組合(ユニオン)や弁護士を頼ることになります。
でも外部の機関を頼る場合、問題解決後に自分が会社に居づらくなる可能性もあります。冷静に判断してください。
また、できれば他のパワハラの証拠も揃っている状態だとなお良しです。今回だけの出来事じゃないんだぞという証明になるので、今後の運びにも有利に働きます。
それらの証拠、および現場での暴言・暴力を盾に相手を完封することができますよ。
対策3:証拠をまとめて突きつける
その場での反撃が性に合わない人は、しっかりと証拠を集めて突きつけてやりましょう。
また証拠が不十分という場合、反撃を決意してからが証拠集めを開始するタイミングだと思います。基本的には今まで通り行動して、新たに起こるであろうパワハラと、過去のパワハラの証拠を粛々と集めましょう。
証拠1:録音
上司からの暴言や、暴力を振るわれたときの音を録音します。
スマホのボイスレコーダーでもいいんですけど、いつなんどきパワハラされるかわかりません。できればパワハラ上司と同じ空間にいるとき、常に録音できる物がいいです。
普通のボイスレコーダーからペン型のレコーダーなどなど、いろんな種類のボイスレコーダーがあります。予算やスペックと相談して決めてください。
証拠2:スクリーンショット
もし社内でチャットツールを使っているなら、チャットのスクリーンショットを残しておくべきです。
パワハラ上司なら高確率で証拠に使えそうなことを言っているはず。あきらかな暴言はもちろん、雪隠詰め(取りつく島のないやつ)、当てこすりなどなど。
しっかりと残しておきましょう。
証拠3:動画
これは入手難易度が高いんですが、例えばあなたの職場に防犯カメラが導入されている場合、パワハラを受けたときの録画映像を確保しておきたいところです。
もし、あなたが一般社員よりも高い役職にいるのなら可能かもしれません。何か理由をつけて保存方法をさらっと確認しておきましょう。
【注意!】証拠を集めているあいだは、上司に対する見方を変えて自分のメンタルを守る
パワハラ上司への反撃を決めてから証拠集めを始める場合は、精神的にかなりツラいです。
「もう限界だ! 今すぐ全てを終わらせたい!」と悲鳴を上げている心を押して証拠を集めるわけですから、十分な量の証拠が集まる前に「やっぱり無理だ・・・」と挫けてしまうかもしれません。
こうなる前に、上司に対する見方を変えて自分のメンタルを守りましょう。
「またマウンティングしにきたよ」「あんたのやっていることは全て証拠になるぞ」「かわいそうな奴だな」と、そう思うことで僕は自分のメンタルを守ることができました。
相手は部下に対して暴言を吐き、暴力を振るう未熟な人間です。何も相手のパワハラに付き合う必要はないんです。
証拠集めと並行して、かならず病院に行くこと
自分のメンタルを守ることに加えて、しっかり病院にも行ってください。
パワハラによって引き起こされる躁や鬱は本当にしんどいです。怒り、悲しみ、惨めさ、悔しさ、こういった負の感情が渦巻いて頭から離れなくなります。
いつまで続くのかわからない、胸が締め付けられるような不安感は本当に辛いですし、思考がまとまらなくなって仕事も手にがつかなくなります。
ひどくなると頭痛や不眠、手の震えといった症状として体に出てきます。これは気合で何とかなるものじゃないです。自分でコントロールはできません。
無理せずに、絶対に、病院に行ってください。
ゴールを決めておく
反撃する場合は、攻勢に転じる前に「どこをゴールにするか」を明確にしておきましょう。ゴールが明確になっていなければ泥沼にハマる可能性が高いです。
- 正面切って抗議し、相手が態度を改めたらOK
- 反省文・謝罪文を提出させたらOK
- 裁判まで視野に入れて行くところまで行く、徹底的にやる
たとえばゴールとして上の三つが考えられますけど、何も決めずに反撃を開始すると、落としどころがわからなくなってくるんですよね。
気が付けばいろんな人間を巻き込んで、職場やプライベートの人間関係も崩壊してしまって、もう行くところまで行くしかない! っていう状況になりかねないです。
裁判も辞さないくらい強い怒りを抱えていたり、仕事の続行が不可能なくらい深刻な状況なら仕方ありませんが、そうでないなら冷静にゴールを決めておきましょう。
パワハラ上司への対策 まとめ
ということで、パワハラ対策について書いてきました。僕の体験を踏まえて書きましたので、「もっとこうしたほうがいい」という意見があるかもしれません。
でも上司からのパワハラで、日々つらい思いをしている人に少しでも役に立てば幸いです。